増田文学の真骨頂

 はてな匿名ダイアリー(増田)にたくさんのブックマークが付いていたことから、この著者と著作を知りました。 

ハッピーエンドは欲しくない
 

 

 本書に対しては、いくつかのフリーで読める著者の文章から推定した期待値と、ほぼ同じ読後感を持ちました。すなわち、いつもの読みやすい文体と興味深い内容がある一方で、大きく飛躍する世界観はありませんでした。
 でも、私にとっては、燃え殻さんのデビュー作より刺さったし、太宰治のように私にだけ囁きかけられるような魅力も感じられました。世の人を4つくらいに大きく分けた時に、著者と同じカテゴリーに入るのかもしれません。それは、システム思考との親和性かもしれません。
 次作を楽しみにしています。著者が安定した人間関係の中で、新境地を開拓することを期待しています。

心を育てる

 人の気持ちを想像する能力って、どうやって得られるんだろう。相手に、自分と同じような心というものが宿っていること。自分が嬉しいことを、相手にもしてあげると良いこと。何もわからない赤ちゃんから、どうやってそれらのことを知るようになるんだろう。

 (たっちゃん改め)ニャタが、お気に入りのお人形を前に、踊っている。人形はポーちゃんと名付けている。踊りはたぶん、ドロップスの歌だ。ポロンポロンと涙がこぼれる様子や、ペロンペロンと飴を舐める動作をしている。毎日お母さんと向かい合って踊りあうのが、最近のニャタは大好き。それを、ポーちゃんにもしてあげているんだ。

 生まれたての赤ちゃんから、2歳を過ぎる今日まで、もちろん毎日つぶさに見てきた。でも、わからなかった。いつの間に、ニャタの中に、こんな心が生まれ育っていたのだろう。そして、いつどうして私たちは、このような心を失うのだろう。自分がして欲しいことを相手にもしてあげる。自分がして欲しくないことはしない。それだけのことが、できない私たち。利害が一致しないだけではない。お互いに傷つけあうだけのことを、私たちはしてしまう。気づかずに、それともわざと? 

 ポーちゃんの前で踊るニャタを眺めて飽きない。自分の子どもは可愛い。それだけ。