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父はおじいちゃんになる

 父と食事をしてきた。妊娠の報告をした。「おめでとう」と反射的に言わなかった人は初めてだ。「お母さんは、つわりがほとんど無かったって言ってたけど、本当に変わらない感じだった?」と聞いたら、さらりと「お父さんは知らないなあ」と言った。そういう夫婦だったし、そういう時代でもあった。社宅で、どこのお父さんも、朝早く出かけて夜遅くに帰ってきていた。「出産予定日が決まったら教えて、仕事空けとくから」と言ってくれたから、喜んでくれているんだと思う。でも、私を産むとき母は、連日夕方に陣痛が来ては治まり、結局予定日を1週間以上過ぎて産まれたと言っていた。父はそのことを覚えているんだろうか、そもそもわかっていたのだろうか。

 食事中に、もっともっと食べろ、おまえは未来の人財なんだから、と勧めてくれるのはいつものこと。食事後に、スーパーで肉や野菜を買って持たせてくれるのも、実家を出てからいつものこと。でも、今日は、お腹の彼子ちゃんや、彼と彼子ちゃんと新しい家庭を築いていくことを応援してくれているようで、とっても嬉しかった。今まで散々お世話になって、現役で働いているとは言えいい年になった父に、これ以上頼ることはできない。本当はもう、立場が逆転してもいいのだろうけど、父は強くて私にはまだまだ力が足りない。甘えるわけにはいかないのだけれど、このところ何だか弱っている時に、力のある人が私の味方でいてくれることを実感して、ほっとすることができた。

 奇想天外で家庭的ではなかった父が、どんなおじいちゃんになるのか、興味津々だ。そんなことを思う心の余裕ができる程に、今日は元気が出た。牡蠣のパスタも、平目のソテーもとってもおいしくて、いっぱい食べた。やっぱり「つわり」は大して起きていないのだ。