よく歌い、よく笑う。

2015年10月に生まれた突然変異体(ダウン症)ニャタは育っています

おっぱいを飲んで、泣ける赤ちゃんになった

 うちの子はダウン症候群のせいか、他の子と同じような産声を上げて以来、赤ちゃんなのにほとんど泣かない。ほとんど、というのは、たまに小さな声で一声泣くだけなのだ。だから喉とか肺とかの問題で泣けないのかと思えば、入院中の注射のときには、産声と同じくらいの大きさの声で泣き出したりした。だから、泣く意欲みたいのがないのかもしれない。知的な発達の問題が、すでにあるのかもしれない。

 それに、赤ちゃんが生きていくための必須能力であるはずの、おっぱいを飲むことも難しい。入院中に、より哺乳力を必要としない哺乳瓶で飲む練習は仕上げてきたから、粉ミルクなり搾乳したおっぱいを飲んで生きていくことはできるんだけど。

 ところが今日突然、直接おっぱいから飲める子になった。退院してからも、飽きなく練習は続けて、けっきょく哺乳瓶から栄養補給する日々だったのに。しかも、授乳の途中で体制を直そうとして一度おっぱいから口を外させたら、大きな泣き声をあげた。その後も、お腹が空いたとき、産声級に泣き出した。

 ダウン症候群の子は「ゆっくりだけど成長する」と新しく親になった人向けの本に書いてあったけど、こういうことなのかなと思った。とっても嬉しかったし、育てていく自信みたいなものを感じた。この子だって生きたいんだと思った。21トリソミーという余分な染色体のせいで流産しやすいのにせず、出生前診断で中絶されることもなく、分娩時のトラブルも乗り越えて、NICUを予定より早くに退院して、私の腕の中でまどろんでいる温かな赤ちゃん。