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子育ては忙しい

 そろそろおっぱいをあげる時間になったから、眠っている赤ちゃんを見ていたら、もそもそ動き出して両手をのびーっとして、笑ったような顔や困ったような顔になって、泣きもせず、少しずつ起きてくる様子が本当に可愛い。

 ベランダに並べたプランターで枯れている植物たちを片付けた。バタバタの生活の中で、夫が水やりを続けてくれようとしたけど、「自然に終わりにしたい」とお願いしてやめてもらった。二人で暮らし始めて、ガーデニングというほどではないけれど、憧れ半分で始めたベランダの植物たち。暑い夏の日曜日、「今がいいの? 夕方まで待てないの?」と呆れられながら真昼間に駅前商店街の花屋で鉢植えを買って、夫がだらだら汗を流しながら持って帰ってくれた。飽きっぽくて忘れっぽい私が水やりを忘れていると、本当は家に虫が寄り付くから植物は育てたくないはずの夫が、何も言わずに水やり係になってくれた。私が友達と旅行している最中にハイビスカスの花が咲いて、夫が「きれいだったから」と写真に撮っておいてくれた。

 「普通の」赤ちゃんが生まれたんでも、忙しくて植物まで構ってられなかったと思う。だけど今は、ダウン症について勉強したり病院に通ったりするのでも時間を使うし、障害児を育てていくので人生のプランを考え直す必要もあるなと思って、植物は終わりにした。

 二十日大根、ミニキャロット、レモンバームワイルドストロベリー、青じそ、三つ葉。「何十年か後には環境破壊と食料自給率の低下で、家庭菜園ができないと生きていけないよ」と訳の分からないことを言って夫を煙に巻いた。ハイビスカスや朝顔も育てたけど、西向きのベランダの環境は良くなかったのか、下手な初心者でなかなか花を咲かすことができなかった。

 夫との楽しい思い出があって、目の前に可愛い赤ちゃんがいて、なぜか涙がでてきてしまう。でも赤ちゃんの前で泣いてはいけないから。もうおっぱいをあげる時間だし、欲しがってるから応えなきゃ。私、お母さんになったんだな。