よく歌い、よく笑う。

2015年10月に生まれた突然変異体(ダウン症)ニャタは育っています

英才教育とIQ

 自分で言うのも非常識だけど、私と兄弟は進学校でも成績が良い方だった。うちの母はよく同級生の親に「どういう子育てをしているんですか」と聞かれると、家でこっそり自慢気だった。初孫が産まれることになって、面倒をみてくれると張り切っていた。実際に、今私がブログを書いている間も、母が息子をあやしてくれている。

 だけど、というのも何だけど、うちの子にはダウン症候群があるから、進学校には行かない。発達の程度や地域によっては、小学校は普通学級に行く場合もあるみたいだけど、いずれ特別支援学級や学校に行くことになるだろう。

 家でも療育が大切らしいから、そういう意味では子育ての得意な母の本領発揮で、ありがたい。でも、ふと考えてしまう。例えばIQという指標がある。ダウン症候群に対して療育を頑張らないで育てたらIQが60で、いろいろ工夫して手を掛けたら80になるかもしれない。でも、周りには療育をしないでIQが80でも、100でも、120にでもなる「健常児」がいくらでもいるのだ。何のために…少しでも、というのは虚しい…。

 母は「この子が毎日を楽しく暮らせるようにするのが全て」という。どこかで、「子どもの可能性を最大限伸ばすことが良い教育」と聞いたような気がする。そんな言葉に救われる。出産前から気になっていた知育玩具を、やっぱり買った。妊娠中は英才教育に走り過ぎちゃいけないと思って買い控えていた英語のCDを、だけど買ってみた。何となく、子どもが楽しそうにしているように見えなくもないから使っている。

 生まれた時からほとんど泣かないし、体はぐにゃぐにゃ。1か月の今は、追視をしはじめたり、握らせたガラガラをしばらく持っていたり、他の子と大差なく見える。これから、発達が遅れていくんだろう。それはまだ体の良い言い方で、遅れるって言っても最終的には知的障害の状態で止まるんだ。止まるどころか、早くに退行すると聞く。

 人生って…子育てって…と思いながら、本能的に、ただ子供がかわいいと強く思えることが私を支えている。私の大切な赤ちゃん。私のお腹に宿って、十月十日を期待にあふれて暮らした。今は迷いも切なさも正直抱えながら、お母さんは強くなってあなたを守りたいと思う。