母の世界

 母親という生き物は、強くなるものだなあと思う。子どもが生まれてすぐの頃は、この子は私より先に死んでしまうのかなと思い、看取るなんて辛すぎると思った。しばらくして、やっぱり私が先に死ぬのかなと思い、誰がこの子を守ってくれるんだろうと思って辛くなった。そして今は、できるだけ私の方が後まで残れるように健康に気をつけよう、だけどこの子が一人で残っても、この子の人生が良きものになるように、私が死ぬまでに十分な愛情を注いでおこうと思う。

 生まれた子どもが私の枕元に連れてこられたとき、凄まじく、気が狂わんばかりに、とにかくかわいいと思った。母性本能としか言いようがない。その時、私の人生は転換した。その瞬間に、母親になれたわけでは全くない。ただ、その時から、新たな方向へ私は走り出したんだ。自分よりも大切な存在があるという、悦ばしい世界へ。ありがとう、両親、夫、そして赤ちゃん。