母子家庭へ

 生まれてくる子供につかせたい職業とか、習わせたいこととか、妊娠中に全然思いつかなくて、それは良かったと思う。だから、たっちゃんが産まれた後も、諦めなきゃいけないことなんて一つもなくて、たっちゃんが好きなことを楽しんでやれるように、その願いは叶うと思うし、むしろたっちゃんが障害児であることで、純粋にそのことを追求できるようになったと思う。

 ただ一つだけ、子どもに与えたかったものは、私も夫も経験したことのない、両親揃った暖かく賑やかな家族だった。それを今、諦めなきゃいけない時が来た。

 私も相当にストレスを感じているらしくて、夕べなんかは、交通事故で血まみれになった幼女を観衆が抱けないでいる中、私がその子を抱きしめて自分も血まみれになるという夢を見た。

 たっちゃんには新しく、皮肉のない、余計なことに気を遣うことのない家庭を与えたいと思う。それは、母一人子一人、もうしばらく元気な間はプラスばばの、たった二人か三人の家庭になると思う。それでもそこには幸せが確かにあるから。お母さんは、たっちゃんとずっといっしょにいられるのをとても幸せに思っているから。お互いの命がある限り。大切にするよ。