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話しが通じない人

 実家暮らしも数週間におよび、初めの遠慮も消えてきて、母の家事のやり方なんかもぼちぼち覚えて少しは手伝えるようになり、そして子供が落ち着いた生活を送っている。一方の夫はと言えば、これは暴言だよなーと思うようなメールを送ってくる。擦れ違いを重ねたとはいえ、いつかは信頼し合って子どもを持った相手が、私のことをめちゃくちゃに言う。私が感じるのは、怒りでも悲しみでも、呆然とでもなくて、強いて言えば、無常感かもしれない。

 同じ日本語を話しているのに通じないと言うか、これはどうしたことだろう。子どもを産んで、一生懸命子育てして、仕事にも復帰して、もうこれ以上、頑張れない。いや、子どものためならいくらだって頑張れるけど、私のためには、もう。何が足りなかった、何がいけなかったと言われても、それは遠くの世界で。ただ、一緒に暮らした最後の日々、辛かったなあと思う。

 それでも信じられないようなことを夢想してしまう。何かのボタンの掛け違えがひょいとなおって、手を取り合って子育てしていける未来を。いやそれはもう、夫が何かの悪い病気だったとしても、ラインを乗っ取られていたとしても、何であったとしても過去の説明がつかないから、そんな未来につながるように現在を解釈しなおすことなんて不可能だから。それでも忘れられない。いつかは夢見ていたことを。

 胸がドキドキする。息が苦しい。最近、時々そうなる。何とかこの子をこの手で育てあげなきゃ。それだけ。