痛いのが嬉しい

 歯が生えてきた。私、お母さんの手をつかんで、久しぶりに指を口の中に持っていったと思ったら、チクリとした。彼の爪と同じように、薄くて、小さくて、刺さりそうな歯だった。

 思えば最近、彼はあまり私の指を食べなくなっていたから、いつから生えていたんだろうと思う。おっぱいは毎日何度かくわえているけど、気づかなかった。もし、歯が生えてこなかったら、総入れ歯を作ってあげようかと思っていた。おじいちゃんおばあちゃんは、入れ歯を外すと顔が変わるから、彼がいま入れ歯を外した状態の顔であるなら、歯が入ったら顔が変わるのだろうかと思っていた。

 この小さな歯を、守ってあげなきゃいけない。歯磨きしたり。フッ素塗ったり。ここは、お母さんの出番でしょう。

 まだ、歯磨きをするほどの歯じゃなくて、ちょこんと、白く尖ったものが出ているだけだけれど。歯ブラシや歯磨き粉なんか買ったら、笑われちゃいそう。これだけの歯に、こんな用意したの!なんて。でも、そのうちにょきにょきと他の歯も生えてくるんだろうな。遅れないようにケアしてあげなきゃ。

 いつからかわからないから、今日が、歯が生えた記念日。適当なお母さんでごめんね。