恐るべき1歳児

 飛行機ブーンという遊びがある。大人が仰向けに寝て、子どもが空を飛ぶように持ち上げて、子どもが手足をピーンと伸ばして、飛行機ブーン。「高い高い」みたいな、親子の組体操。

 たっちゃんは生まれつき筋力が弱いから、自分の腕を重力に逆らって持ち上げられるようになったのは、生後何か月も経ってからだった。それが今では、飛行機ブーンで両手をピーンとできるんだから、お母さんは感動。そして飛行機になり切ったたっちゃんのご満悦な顔がウケる可愛らしい。

 それをやりたくて、体重10kgとだいぶ重たくなったたっちゃんを「ブーン」と持ち上げるんだけど、ケラケラ笑うだけで、表情も作らないし両手もだらーん。下におろして、「飛行機ブーンだよ?」と言うと、顔も手も可愛らしくやるのに。また持ち上げると、ただケラケラ。降ろすと、「もう一回」と、指を一本立ててお母さんをまっすぐに見る。

 そう、たっちゃんはお母さんをからかっているのだ。たっちゃん1歳10か月。ダウン症で発達が半分くらいの速度だから、ちょうど1歳くらいに相当する。1歳で、これですか。やりますか。先が思いやられるなあ。赤ちゃんって、油断できない。