よく歌い、よく笑う。

2015年10月に生まれた突然変異体(ダウン症)ニャタは育っています

「お母さんになる日記」から「僕がつくる世界」へ

 頭が良くなる方法も、人の気持ちがわかるようになる方法も、同じことだった。そして、幸せを感じられるようになる方法も。

 最近、科学技術がもっと進化すべき点が思い浮かぶようになった。評判のいい立派な肩書な人も、相談者に親切にすべき士業の人も、不完全であることが多いと思うようになった。そんなネガティブなことだけではなくて、コミュニティーの楽しさもわかるようになった。ルーティンをこなしながら充実した毎日を過ごすやりかたも身についてきた。

 たっちゃんをこの世に迎えてから。こんなに未発達で、たくさんのお世話を必要とする生き物なのに、どうして私を先へ、高みへと、連れて行ってくれるの? 何も知らない、何もできないたっちゃんが、小さな進歩を一つずつ遂げる姿を見守っていることで。あるいは、無邪気で、お母さんに全幅の信頼をおいた、その笑顔や泣き顔を向けてもらうことで。世界の成り立ちを知り、世界を構成する力に触れる。

 お母さんになれるかな、ならなきゃな、という思いで、妊娠中から「お母さんになる日記」を書いてきた。でも最近、たっちゃんから発するものが強すぎて、お母さんはなるもならないもないなと思うようになった。たっちゃんがそこにいて、お母さんがここにいて、たっちゃんが日々つくっている輝かしい未来。

 その片鱗だけでも、書き留めて整理したいという衝動が止まない。